2.材料の基礎知識
鉄の製法電炉材と高炉材
 建築に使用される鋼材は、鉄鉱石、鉄くずから多くの製造工程を経て製造されます。技術の向上によ り、1970年代まで主
流だった造塊・分塊法に代わって、現在では、95%以上の鋼材が連続鋳造法で製造され、品質向上に大きく貢献しています。
鋼材の製造
電炉材と高炉材
 鋼材には原料と製造法の違いにより、電炉材高炉材があります。

 電炉材は、シュレッダーくずを電気炉で溶解してつくります。この場合のシュレッダーくずとは、自動車くず、トタンくず、缶くず
などを小片に破砕し、非鉄分や有機物を除去処理したものです。こうした電炉材は、資源リサイクルの意味からも活用され、
生産も増加しています。鉄くずの多くは市中から集めら れてくるため、各種の異物が含まれています。特に製鋼過程でCu、Sn
などは除去不可能なため、現在いろいろな研究が進められています。

 一方、高炉材は鉄鉱石を主原料として溶鉱炉でできた銑鉄を原料に製鋼して作られます。高炉とは大規模な設備が必要で
炉の高さが100 m以上にもなることから「高炉」と呼ばれています。
丸鋼
いろいろな鉄筋
断面が円形の棒鋼です。鉄筋として用いるほか、ボルトなどの材料として使用します。
異形鉄筋
表面にリブや節をつけ、コンクリートとの付着を良くした鉄筋です。異形鉄筋の直径及び断面積はその異形鉄筋と同じ質量の
丸鋼に換算したときの直径及び断面積です。直径を「公称直径」、断面積を「公称断面積」と呼んでいます。
異形鉄筋の表面形状の一例
(メーカーによって形状は異なります。)
異形鉄筋の圧延マークの例
(1本ごと種別、メーカーを区別するための
厚延マークがついています。)
呼び名
異形棒鋼の公称直径を四捨五入した数値です。丸鋼と区別するため異形(Deformed)のDをつけ て、
D10, D13,D16,D19,D22,D25,D29,D32,D35,D38,D41,D51としたものです。
公称直径
鉄筋の直径の公称値です。公称断面積から定めます。(=公称径)
公称断面積
鉄筋、形鋼などの断面積の公称値です。単位長さ当たりの重量を密度で除して定めます。
溶接金網
異形鉄線4〜16mm (公称線径)、丸鉄線2.6〜13mmの径の鉄線を縦横に組んで、交点を電気抵抗溶接した
ものです。コンクリートの補強やひび割れの分散に用います。
鉄筋格子
鉄筋を格子状に直行させ、結束のかわりに交点を電気抵抗溶接したものです。
鋼材の表記の意味
鉄筋の規格
鉄筋は、形状から異形鉄筋と丸鋼に分けられます。なお、現在丸鋼はほとんど使用されていないので「標仕」では、異形鉄筋に限定しています。
例)SD  295  A   (SI単位系の表示)
別を意味します
降伏点(N/mm² : SI単位系の表示)
鋼材の種別 [S : Steel,D : Deform (異形)]
*:種別について
A :炭素含有量の規定がありません。建築工事では大半がこちらを使用しています
B :化学成分の成分調整がされており、圧接性に優れているが特注品です。
コンクリー卜との関係
鋼材とコンクリートとの組み合せは、鉄筋の付着、定着の問題、じん性の問題を考慮して、原則として降伏点強度の高い鋼材に
は強度の高いコンクリートを組合せるようにします。
柱・梁主筋の組合せの標準
主 筋
SD295A
SD295B
鋼材
コンクリート
Fc = 21
Fc = 24
SD345
SD390
(注)◎:一般的に使用される標準的な組合せを示します。
      ○:適用可能な組合せを示す。
     △:スラブ・壁などの細物のときには使用可能です。
      Fc :単位は N/mm²
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